1万年前にはブッシュマンが暮らしていたモレミは、バタワナ族によって開かれ、オカバンゴ湿地帯の東側に4,871 km2にわたって広がります。モレミは、アフリカ有数の美しい野生動物保護区と言われ、そこに生息する非常に多種多様な動植物で有名です。います。モレミには、モパネやアカシアの林、氾濫原、ラグーンが混在しています。
最初に野生動物保護区を作ろうという案が出されたのは1961年のことで、その案は1963年にコトラでバタワナ族に承認されました。このエリアはその後1965年4月に野生保護区として正式に指定され、当初はンガミランド動物保護協会により運営されていました。その後1976年にモレミは拡張され、チーフアイランドがその保護区内に含まれました。1979年8月に野生動物国立公園局が保護区を引き継ぎました。1992年にさらに拡張され、現在オカバンゴ湿地帯の約20%が保護区内に含まれています。
アクセス
マウンから北東に向かってショロベまで、よく整備された舗装道路を行き、次に広い砂利道を進むと、地元ではバッファローフェンスとして知られている、野生動物が媒介する病気から、豊かな畜産業を守るために設置された動物管理用フェンスが張られています。フェンスの入り口を通過すると、その先に広がる深い砂の道はそれまで通ってきた道路とは非常に対照的な道であるため、ここが四輪駆動車を必要とする地域である理由が初めてわかるはずです。少し進んだ後、左手の分岐路に入ると、野生動物が生息するモパネやアカシアの林が広がり、開けた草原が点在しています。道の砂は柔らかく、激しくうねっているので、十分スピードを落として進んでください。野生動物を観察するチャンスもあります。
マウンから99km移動すると、モレミ野生動物保護区の南のエントランスゲートであるマングウェに到着します。ここには、背の高いモパネの木陰にキャンプ場があり、水浴びもできるようになっています。このキャンプ場では、ヒヒやサルに食料を狙われないように注意することが大切です。
モレミの南のゲートからは、様々なルートを選択できます。まず、保護区の本部が置かれているクワイにある、北のエントランスゲートに直接行くことのできる30kmのルートがあります。クワイには、十分な木陰のある大きな公共のキャンプ場があり、そこからは川を見下ろすことができます。
クワイには、全てモパネの木の柱から作られた長い橋があり、北側から保護区に到着する旅行者の目を引く美しい入り口になっています。車が通るとガタガタ音を立てて揺れますが、この橋は、ボツワナ北部で最も写真に収められる建築物のひとつで、モレミの大きな特徴となっています。保護区の他のエリアにも似たような作りの小さな橋があり、橋の継続的なメンテナンスを行うために、13人のチームが作業に当たっています。
次に、様々な風景の中をファースト・ブリッジとセカンド・ブリッジを越え、サード・ブリッジにあるキャンプ場まで北西に58km進むルートがあります。オカバンゴ湿地帯とムボマ島に隣接するこのエリアには、乾季になると野生動物が密集するため、なかなか見ることのできない、チーターの狩りの瞬間を目撃できるチャンスもあります。ここにある橋の下を流れている水は、透き通っていて冷たく、いかにも気持ち良さそうに見えますが、注意してください。泳ごうなどと馬鹿なことをする人をワニが待ち構えています!バケツに水を汲んだり(貯水塔を利用したほうが安全です)、水辺で活動したりする場合は注意が必要です。
南のゲートから行くことができる第三のルートは、モパネの林の中心を抜けてカカナカに向かう42kmのルートです。カカナカにも、オカバンゴ湿地帯のはずれを見渡せる公共のキャンプ場があります。カカナカからは、クワイにある北のゲートに向かう45kmのルートがあります。北のゲートから14km手前で、「カバのプール」として知られる魅力的なエリアを通ります。
カバのプールには、その名の通り、たくさんのカバが生息しており、プールを見下ろす観察台から、ゆっくり観察できます。この近くにはかつてブハクウェ族の村がありましたが、野生動物保護区が作られたことにより、人々は1963年に、北のゲート付近の現在のクワイ村に移動しました。村の人口はわずか約300人です。クワイ村には日用品店がいくつかあるので、何か所持品が底を突いた場合や、よく冷えた飲み物を飲むという贅沢をしたいときには非常に便利です。旅行者向けに美しいバスケットを販売する村人もいます。
モレミを訪れるベストシーズンは乾季です。特に7月から10月は、雨季にできた多くの水たまりが干上がり、野生動物が水のあるところに集中するので、動物観察に最適です。5月から8月にかけての冬場は、夜は非常に寒くなりますが、日中は晴天に恵まれ快適な暖かさとなります。10月から、雨が降り始める11月下旬または12月上旬までは、日中も夜も非常に暑くなります。
保護区では全体的に蚊が多いので、特に雨季の間は、保護区を訪れる前、滞在中、そしてその後の4週間はマラリア予防薬を服用することを強くおすすめします。また、飲用水は煮沸するか化学処理を施さなければなりません。
保護区には多種多様な動植物の生息環境があり、保護区の中央部のモパネ・タンにある木々の高さは有名です。しかし、陸地部分は保護区のわずか30%に過ぎず、残りのエリアはオカバンゴ湿地帯の一部なのです。水鳥から森に住む用心深い鳥まで、鳥類は多産で多様です。ゾウをはじめ、動物も数が多く、特に乾季には、バッファローやキリン、ライオン、ヒョウ、チーター、ワイルドドッグ、ハイエナ、ジャッカル、さらにはレッドリーチュエを含む大小様々なアンテロープなど多数の野生動物が見られます。かつてはクロサイとシロサイの2種類のサイも保護区内にいましたが、残っていた数頭のサイのほとんどが探し出され、密猟者の目から逃れて庇護を受けられるサイ保護区へと送られました。他の地域では頭数が急激に減少しているワイルドドッグ(別名リカオン)が、モレミではよく見られます。1989年からワイルドドッグを対象にしたプロジェクトが行われているため、研究者によって首輪を付けられたワイルドドッグが頻繁に目撃されます。モレミ地域には、生存している全ワイルドドッグの約30%が生息していると言われています。
旅行者の方は、モレミでは補給用の燃料が手に入らないことに注意してください。一番近くのガソリンスタンドとガレージ施設はマウンです。また、クワイ村で売られている限られた商品を除き、保護区内では食料品も手に入りません。