「カラハリの宝石」と呼ばれるオカバンゴ湿地帯は世界最大級の内陸デルタで、豊かな水を湛えた湿原から乾燥した大地まで、変化に富んだ独自のエコシステムを有します。パピルスが生い茂る曲がりくねった水路を進み、ヤシの木がそびえ立つ島々を通り過ぎていくと、野生動物の楽園となっている湿地帯の様々な植生を見ることができます。カラハリの乾いた大地の奥深くに、このような自然豊かな湿地帯が存在するとは、信じられないかもしれません。
夏の間に遠くアンゴラの高原に降った雨が、オカバンゴ川へと流れ出し、ボツワナの砂漠地帯へ向かって南下します。ボツワナで雨季が終わり、水が消える4~5月頃、川の水はボツワナに至り、北端の町モヘンボを通過して、扇形に広がる湿地帯へと注ぎ込み、一帯は豊かな水で覆われます。するとオカバンゴ湿地帯は砂漠のオアシスと化し、植物、動物に生気がみなぎります。湿地帯の面積は、水の少ない時期には1万5,000km2ですが、氾濫期になると2万2,000 km2にまで拡大します。
息をのむような美しい景色が広がり、驚くべき数の野生動物が見られます。オカバンゴでは場所によって「陸のサファリ」と「水のサファリ」が両方楽しめます。ガイドがポール一本であやつる「モコロ」と呼ばれる伝統的な丸太のカヌーに乗り、ウォーターリリーの咲き乱れる湿地帯を散策するのが人気です。
オカバンゴ湿地帯に生息するおもな動物は、ゾウ、バッファロー、キリン、シマウマ、カバ、ワニ、サイ、レッド・リーチュエ、ウオーターバック、リードバック、ダイカー、インパラ、クドゥー、スタインボック、ワイルドビースト、ハーテビースト、セーブルアンテロープ、ローンアンテロープ、ライオン、ヒョウ、チーター、ジェネット、サーバル、カラカルなどです。また400種類以上の鳥が確認されており、陸鳥、水鳥、一年を通してここにいる鳥、季節によって飛来する鳥など、様々な種類の野鳥が見られるのでバードウォッチングにも最適です。