チョベ川はチョベ国立公園の北の境界沿いを流れています。北部のアンゴラの高地を水源としており、その地域では「クワンド川」(ハンブクシュ語)と呼ばれています。ボツワナに到達する前にかなり長距離にわたってカラハリ砂漠を流れ、そこでは「リニャンティ川」(バスビヤ語名)と呼ばれており、ンゴマに到達すると「チョベ川」と呼ばれるようになります。
チョベ川の川筋は、オカバンゴ川やザンベジ川のように、東アフリカの大地溝帯の延長である断層帯の影響を受けています。これらの3つの壮大な川の流水量は、南部アフリカのどの川よりも多いものになっています。
オカバンゴ川とチョベ川、ザンベジ川には密接なつながりがあります。オカバンゴ川から流れ込んだ氾濫水がパナンドルの南側から流れ出てチョベ川に流れ込む地点であるセリンダ・スピルウェイを経由して、オカバンゴ川はチョベ川とザンベジ川とつながっています。現在の理論では、何百年も前、オカバンゴ川とチョベ川、ザンベジ川の上流はひとつの広大な川としてカラハリ中央部を流れており、リンポポ川と合流してインド洋に流れ込んでいたと考えられています。地殻変動によりこの川の流れは止まってしまい、川がせき止められることで、リニャンティ湿原が形成されました。
チョベ川はまずそのまま南に流れますが、バエイ族の本拠地であったディエイで地溝によって湿原へと流れ込みます。そしてリアンベジ湖を通って北に曲がり、最後に東に曲がってカサネを通り、カズングラでザンベジ川に合流します。チョベ川とザンベジ川は短い間一緒に流れ、ビクトリアの滝に到達して流れ落ちます。
チョベ川は、広範囲にわたって葦とカミガヤツリが茂る湿地を曲がりくねりながら流れ、それにより、スイレンで埋め尽くされることもある隠れた沼が形成されています。川の南岸は、水場が点在する開けた氾濫原から深い森林地帯に変わります。ボツワナから川を越えると、カプリビ回廊があります。そこで牛が草を食んでいる光景は、チョベ国立公園の野生動物の光景とは全く対照的です。