この保護区は1990年代前半にソワ・パンの北東端に設立され、マカディカディ・パン国立公園とナイ・パン国立公園を除いて、この地域唯一の保護区です。ナタ鳥類保護区は近隣の村から選出されたメンバーによる評議会が運営する地域コミュニティーのプロジェクトです。230km2の面積のうち、約45%はスア・パンに含まれ、スア・パンおよびその付近に生息する野生動物の保護区域として指定されています。
この計画は1988年にナタ保全委員会により提案され、国内外の団体組織からの資金提供とカラハリ保全協会の協力のおかげで、4年後には保護区が実現しました。地元住民が自発的に3,500頭の牛を隣接する放牧地に移し、砂道の道路網を作りました。
地域社会がエコツーリズムに関与する、こうしたユニークな方法は、アフリカ全土の自然保護の鍵となると考えられています。
ここの哺乳動物はハーテビーストやクドゥー、リードバック、スプリングボック、スタインボックなどのアンテロープ類とトビウサギ、ジャッカル、キツネ、サル、リスに制限されています。現在、エランドやゲムズボック、シマウマは再導入が進められています。また、ナタの河床からポンプで水をくみ上げ、一年中枯れない泉を設計することなどが計画されています。
しかし、ここでの野生動物のほとんどは鳥類であり、カワセミやハチクイからオオノガンやダチョウまで165種の鳥類が登録されています。また、サバンナや森に生息する鳥類も数多くいます。ナタ川に水が流れているときは、このスア・パンの北東端は、コガモ、アヒル、ガチョウや無数のペリカン、ヘラサギ、オオフラミンゴ、コフラミンゴなど、アフリカ全土からやってくる水鳥の楽園となります。このエリアはフラミンゴとペリカンの重要な繁殖地にもなっています。
バーベキュー場と温水シャワー、水洗トイレがついているキャンプ場が公園の入り口付近にあります。このキャンプ場の主は、計り知れないほどの樹齢と幹周を誇る、倒れたバオバブの木です。この巨木は1992年に倒れましたが、驚くべきことに、そのまま枯れることなく幹の側面に沿って新芽が生え始め、水平に成長を続けています。
保護区全域の道は整備されていますが、特にブラックコットンソイル(黒綿土と呼ばれる粘土質の土壌)が不安定になる雨季の間は、一定のエリアが四輪駆動車以外では立ち入り禁止になります。