ソワ・パンから20mほどの高さにそびえるこの国定景勝地は、かつて水流が削った岸であり、化石化した浜や成長の止まったバオバブの木、そして神秘的な石壁が、訪れる人の心に忘れられない印象を残します。この岩塊と幽霊のようなバオバブの木々は塩の海に囲まれた島のようです。寒々とした気候のときに、この奇怪な光景を見た旅行者は、まるで他の惑星に漂着してしまったかのように感じます。あまり知られていませんが、島の本当の名前はレクブ島(ツワナ語で「隆起」という意味)です。クブ島はマカディカディで最も有名な岩の島です。一帯には他にも岩の島があり、その多くは古代の砂丘の跡ですが、クブ島はわずかに点在する花崗岩島の一つであるという点で異なります。
クブ島の岩々は化石化した鳥の糞で白く染まっています。この古代のグアノ(鳥糞石)は、燐灰石とも呼ばれ、かつてここに多数の鳥が生息し、島を海のように囲んでいた塩湖から魚を取って食べていたことを証明しています。
島の頂上には三角点があります。北東側の岩は波の作用で滑らかになっていますが、反対の風下側は、かつては波の寄せる小さな砂浜として突き出していて、現在では丸い小石が無数に存在しています。この広大な内海の水面が上下したため、クブ島は波の下に隠れた時もあれば、辺りが砂の海になってその姿が露わになった時や、100kmにも広がる海に囲まれてほとんど姿が見えなくなった時もありました。
島には、石器時代の刃具や少なくとも二千年前の陶器の破片、低い円形の壁の跡など、古い時代の遺物が散らばっています。
マイク・メインの著書「カラハリ」の中で、島から望むパンの素晴らしい眺めが完璧に描写されています。『眼下に広がるのは過酷なまぶしく輝く表面だが、少し遠くを眺めると、パンは落ち着いたグレーと白が調和したくすんだ色をまとっており、雲が通り過ぎるたびに明暗が変化し、地平線ではコバルトブルーとグレーが出合って一つのハーモニーを奏でる。』また、アーティストでありハンターでもあるトーマス・ベインズも、この島の絵を描いています。
クブにもソワ南西部にある他の島にもキャンプ施設はありませんが、パンを見下ろせる牧歌的な場所がたくさんあります。キャンプをする方は薪を持参する必要があり、ごみは一切残してはいけません。東にさらに38km進むと、ほとんど人が訪れないクコンジェ島があります。
クブ島への行き方
クブ島へのルートはいくつかありますが、いずれも四輪駆動車が必要となります。四輪駆動車を用意できない方には、旅行代理店やツアー会社がクブへのツアーを手配してくれます。
クブへのアクセスで最も容易なのは、フランシスタウンから行くルートです。フランシスタウンからオラパに向かう幹線道路を進み、この道路と交差する未舗装道路に出るまで200km進みます。すると標識があり、左折はレトラカネ方面と出ています。この交差点で右折し、ンマツモ村を目指します。村に入ったら、注意して350mを測り、右にそれていく標識のない道を進みます。
これはパンやタバツクドゥ村に向かう道であり、やがてはナタやマウンに向かう道路に出ます。正しい道を進んでいれば、ンマツモ村の外側で急斜面を下るようになっていて、息を飲むほどのパンの景色が広がっています。ンマツモ村を出て約26km進むと、標識はありませんが右に曲がる道があります。この脇道に入り、18km進めばクブに到着します。
クブの荒廃した石壁は、人が住んでいなかったと考えられる場所を囲んでいます。考古学者は、この石壁はイニシエーション儀式を行う場所であったと考えています。
クブ島のGPS座標は南緯20度53分50秒、東経25度49分41秒です。