アフリカで初めての国境をまたいだ保護区域として正式に指定されたカラハリ・トランスフロンティア公園(KTP)は、南アフリカとボツワナの国境に位置し、2000年5月12日に、当時の南アフリカ大統領タボ・ムベキとボツワナ大統領のフェスタス・モハイ両氏により、公式に開園されました。この公園は、ハボローネから南西約865kmのカラハリ行政区にあります。
カラハリ・トランスフロンティア公園の総面積は3万8,000km2で、ボツワナ側の面積が2万8,400 km2、南アフリカ側の面積が9,600 km2となっています。
カラハリ・トランスフロンティア公園は、カラハリ砂漠南部にある自然保護区域です。カラハリ南部の、人間の手がほとんど及ばない巨大な生態系は、ますます貴重なものになってきています。人工の柵がない(公園の西部と南部以外)ため、保護区の面積は十分に広大であり、かつてアフリカのサバンナや草原で広く見られた野生の有蹄動物の大規模な移住と肉食哺乳類による捕食という二つの生態学的プロセスが残っています。これらのプロセスは広大な地域がなければ保持できません。カラハリにはこれらのプロセスが残っているため、カラハリの自然体系は保全する特別な価値があるのです。
これに加え、カラハリは独特の美しい魅力を備えています。厳しい半乾燥帯の環境は、科学的に非常に興味深い動植物の適応行動を引き起こしました。ここまで多くの調査プロジェクトの対象となった保護区は稀です。この調査から、時間と場所により大きく異なる降雨現象によって環境が幅広く変わることが明らかになり、長期的な研究をしなければ予測することも理解することも難しい自然体系が存在することがわかりました。
カラハリ・トランスフロンティア公園は、アフリカ初の越境公園であり、21世紀の動植物保護のモデルとなることが期待されます。ボツワナ政府はトランスフロンティア公園を成功させることに強い意欲を示しています。ピースパーク基金(南部アフリカで越境公園の振興に努めるNGO)はカラハリ・トランスフロンティア公園の発展に重要な役割を果たし、南部アフリカ地域でのさらなる越境保護区域の設立を支援しています。
ボツワナ側からカラハリ・トランスフロンティア公園に行くには、ハボローネからカラハリ行政区のツァボンまで舗装道路を550キロ行き、ツァボンからは砂利道を310キロ進みます。この道は、乾季の間は二輪駆動車で通ることができますが、雨季の間は四輪駆動車が必要です。他にも、ハボローネからフクンツィまで舗装道路を530km行き、四輪駆動車でしか通行できない砂道をさらに約171km行くルートもあります。