ボツワナの首都であるハボローネは、南アフリカとの国境検問所トロクウェンから15km離れた、ボツワナの南東の角を流れるノトワネ川沿いのカレ丘陵とオーディ丘陵の間の平坦な谷あいにあります。アフリカで最も急成長を遂げる都市といわれる、活気にあふれる華やかな町です。
1998年の調査で、ハボローネの人口は19万2000人でした。首都として、ハボローネは政庁所在地であり、国の商業・行政の中心地となっています。
町の名は、1880年代にこの辺りにバトロクワ族を導いた、ハボローネという名のコシ(族長)にちなんでつけられました。バトロクワ族は、トロクウェン一帯に定住しました。トロクウェンは、南アフリカから車でボツワナに入り、10kmほど東に行ったところにある最初の町です。現在はトロクウェンの近くの「ビレッジ」として知られる地域に、1890年代初期に植民砦が建設され、その跡は今でもビレッジ・シネマの近くにあります。
ベチュアナランドの独立計画が進められるにつれ、国境線の内側に行政都市を設立する必要性が認識され始めました。ベチュアナランドは、行政の中心地であるマフィケンが国境外にある、世界でたった一つの領地でした。マハラペ、シャシェ、フランシスタウン、セロウェ、アルテシア、ロバツェ、ハボローネ、マウン、そしてトゥリ・ブロックの一地域の計9か所が候補に挙がりました。
その中から、戦略的に有利な位置にあり、鉄道網とプレトリアに近く、既存の行政官庁があり、主要な民族の大部分にアクセスしやすく、特定の民族とのつながりがなく、そして何より主要水源に近かったため、ハボローネが選ばれました。
3年という短い期間で、アフリカの荒野に新たな首都が出現しました。首都として完成するまでに、ハボローネには国会議事堂、官庁街、発電所、病院、学校、ラジオ局、電話局、警察署、郵便局、銀行、商店、教会、ホテル、醸造所、スタジアム、1000戸以上の家屋が建設されました。アフリカにおけるイギリス植民地・保護領の中で11番目に独立するベチュアナランドでは、1966年9月30日の独立記念日に向けて、基本的なインフラが整備されました。
現在では状況は全く異なり、ハボローネは活気に満ちた近代都市となり、近隣国からうらやまれるほど、アフリカ有数の経済発展を遂げています。
ハボローネにはあらゆる種類の輸入品や地産品を扱う、数多くの混雑したショッピングモール、素晴らしいレストラン、世界一流レベルのホテル、スポーツクラブや様々なナイトクラブなどがあります。新しい建物や郊外住宅地が次々と出現しており、その結果、低価格な住宅やアパート区画、ショッピングセンター、工業団地などが入り混じって存在しています。
政府省庁、国会、族長会議、公文書館は、全て官庁街に集まっています。ボツワナ大学、国立博物美術館、スタジアムやゴルフコースもこの一帯にあります。
1998年後半には、ハボローネにYarona FMやGabzFMといった民間のラジオ局が開設されました。政府のRB2ラジオステーションと連携して地元の才能あるミュージシャンを発掘し、育成するための番組を放送してきた結果、着実にミュージシャンが育ちつつあります。
2000年8月30日には、初の国営テレビ放送であるボツワナテレビ(BTV)が開始されました。ハボローネに本部を置くBTVは、アフリカで初めて全面的にデジタル技術を利用するテレビ局です。BTVの放送信号は、アフリカ大陸の大部分を電波到達範囲とするPAS7衛星から送られています。
ハボローネで開催されるボツワナ国際見本市は毎年恒例のイベントです。ナショナルスタジアムではサッカーの試合や文化行事が頻繁に行われ、マイティソン文化センターをはじめとする数多くの会場で、音楽や劇の公演が行われています。
町にほど近いセレツェ・カーマ国際空港は、あらゆる大型機に対応可能な近代的な設備が整っており、近年になって、ボツワナ領空でのフライトの安全性を高めるため、最新のレーダー施設を導入しました。
現在、ハボローネには素晴らしい工芸品店がいくつもあるので、ハボローネを訪れる旅行者は、その中から好みの店を選ぶことができます。ボツワナ国内の工芸品を専門に扱うボツワナ・クラフトの直販店が、ハボローネには数店舗あります。キャンプヒル・チャリティ・ショップは、手作りの良質の木製家具と、地元の陶器や織物などの様々な工芸品を置いています。パカラネ地区から北に5kmのところにあるオーディ織物協同組合では、織物工房の見学や売店を回ることができるほか、ハボローネのカプチーノカップセットで大変な人気になりつつあるブロードハーストのクラフトワークショップには、様々な高級工芸品の小売店が入っています。
ハボローネから日帰り旅行を検討される方は、フランシスタウンへの道路上に位置するモチュディの5、6km北に、数少ないボツワナの「天地創造」遺跡である「マツィエンの足跡」があります。ぜひ一度足をお運びください。
メインモール(モール)
メインモールは、ハボローネ散策の出発地点です。鉄道駅と軍隊の駐屯地の間に位置し、独立に向けて、1963年に町の中心として計画されました。現在では、商店や銀行、オフィスなどのほかに、人々が工芸品や様々な品物を売っている歩道もあり、ハボローネの中心地として賑わっています。モールの東端には、シビック・センターがあり、公立の参考図書館(本の貸し出しは行わない)も入っています。シビック・センターの反対側には、ボツワナの独立を記念して建てられたプラ・アーチがあります。
国会
国会議事堂は、官庁の高層ビルに囲まれ、メインモールの起点である官庁街にあります。この官庁街の中心には舗装された広場があり、1939年から1945年に起こった第二次世界大戦で、同盟国と共にファシズムに立ち向かって亡くなった300人のボツワナ人を追悼する戦没者記念碑が立っています。ボツワナの初代大統領セレツェ・カーマの像もあります。
ナショナルスポーツスタジアム、ゴルフクラブ、クリケットクラブ、ラグビークラブ、テニス協会コート
メインモールから約2km南には、ナショナルスポーツスタジアムやハボローネゴルフクラブ、クリケットクラブ、ラグビークラブ、ボツワナテニス協会コートがあります。テニス協会コートでは、1997年に国際大会であるデビスカップの予選が開催されました。ハボローネには数多くのジムがあり、全ての主要ホテルには、館内に素晴らしいジムとフィットネスクラブ施設があります。最近、ハボローネで2番目のゴルフコースがパカラネに完成しました。高級住宅地に隣接した森林地に、素晴らしいクラブハウス施設を誇り、綿密にデザインされたゴルフコースがあります。
カレ丘陵
カレ丘陵は西側からハボローネの町を見下ろしています。カレ丘陵では山歩きを楽しめ、息を飲むほどに美しいダムと町の景色が望めます。丘陵を登るには、急な岩坂を登るラスティ・ルート、反対側から登る道のりの長いトランスフェルト・トレイル、クロス・コピーへの鞍部をわたる起伏のなだらかなルートという、特徴ある3つのルートから選べます。それぞれのルートは1時間もかかりません。カレ丘陵にはヒヒの群れが住んでおり、クロコシジロイヌワシのつがいが、頂上からすぐ下にある岩だらけの断崖に毎年巣を作ります。早朝にヒョウを目撃したという報告もあります。
セントクレア・ライオン公園
ライオンが目玉ですが、セントクレア・ライオン公園には他にも楽しみがたくさんあります。ハボローネからロバツェに向かう道路を14kmほど行ったところにある開けた森林地帯にあるこの公園では、家族向けの様々な野外活動が行われており、「ハボローネ4×4(四輪駆動車)クラブ」のお気に入りの行きつけの場所となっているほか、週末にピクニックをしたり、短期休暇を過ごしたりなど、リラックスできる場所となっています。入園料が必要で、レストランやバー、広々とした子供の遊び場、乗馬道、オートバイ体験、ハゲワシレストラン(オツェのケープハゲワシに餌をあげるところ)、3つのダム、野生動物観察場、ピクニック場、キャンプ場などの施設があります。公園は毎日開園していますが、バーとレストランは月曜日には営業していません。
その他の見どころとしては、国立博物館とアートギャラリー、ハボローネ動物保護区、モコロディ自然保護区、ハボローネ・ダム、タマハ製陶所などがあります。